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season
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season

要 高悟 イラスト:りばた
4人組アイドルグループ「season」。普通の人生を送りたくないリーダーの日菜子、消極的な性格なのにステージでは魅力的な輝きを放つフロントの夏希、明るく良い子だが恋愛経験がなくコンプレックスを抱えるみのり、子役やモデルとしてキャリアを積み芸能界しか生きる道がない優樹乃。seasonは地道な活動と過激な戦略で成功を治めていくが、事件やスキャンダル、家族問題、恋の悩みなど次々にトラブルが降りかかり、やがて混乱と熱狂が加速していく…。  
 
登場人物
・成瀬日菜子…seasonのリーダー。MCやイベントの進行も担当。
・本郷夏希…seasonのフロントを担当。
・西嶋みのり…seasonのフロントを担当していたが降ろされてしまう。
・大原優樹乃…みのりに替わり、seasonのフロントを担当。
 
・高梨ノボル…seasonのプロデューサー。
・木崎…ドリームマイスターのアイドル部門統括責任者。
・石田…seasonのマネージャー。
・鳥羽…seasonのマネージャー。
 
・宗方彰…カメラマン。
・芹沢悠…若手の実力派男性俳優。
・伸久…駆け出しの俳優で、日菜子の恋人。
・澤村智徳…みのりファンの高校生。


■season06
 
 
season到来!
希代のヒットメーカー・高梨ノボルの戦略
(本田繁明(ライター)/音楽情報サイト『Music Show』より)
 
 四人組女性アイドルグループseasonが、ここにきてブレイクを見せている。
 七枚目のシングル『恋する惑星』がグループ初のオリコンウィークリーチャート一位を獲得し、売上二十一万枚を記録したのだ。ライブも好評で、先日行われた横浜ライジングのチケットは即日完売。また、フロントを務める本郷夏希が連続ドラマで好演するなど、メンバー個々人の活動も目立つ。まさにseason到来である。
 しかし、ここでひとつの疑問がある。無数のアイドルグループが群雄割拠する今の芸能界において、なぜseasonは頭ひとつ抜け出ることができたのだろうか。彼女たちは、他のアイドルと一体何が違うのか。
 結論から言うと、それは「戦略的に用意された物語性」だ。seasonはファンが求める物語を、グループの成長段階に合わせ、非常に的確に提供し続けてきたのだ。
 その仕掛人は、seasonの総合プロデューサー・高梨ノボルである。希代のヒットメーカーとして知られる高梨だが、彼は単なる優れた楽曲制作者ではない。その真骨頂は、衆目を惹き付ける物語を作り出し、そして都度それにシンクロした、高いクオリティの楽曲を提供できるところにある。seasonは、彼のその才能を遺憾なく発揮させたグループなのである。具体的に見てみよう。
 seasonは二〇一〇年に結成され、小さなイベント会場や路上でのパフォーマンスからその活動をスタートさせた。いわばドサ回りだが、所属事務所の規模から考えれば、当初からもっと大々的に売り出すことは可能だったはずであり、これは明らかに意図して選ばれた活動内容だ。まずはアイドルを好む層からファンを獲得するため、彼らが近年アイドルに求める「地道な活動で苦労しながらファンと一緒に成長する」という物語を提供したのである。
 つまり、これがこれが第一段階だ。seasonはあえて泥臭い姿を見せ、デビュー曲『シーズンスタート』に代表されるような、少女の素朴な夢や希望を歌った。
 こうして一定数のファンを獲得すると、seasonは次の段階に入る。この第二段階では、グループ内部での競争という物語が提供された。各メンバーの扱いに意図的に差を付け、ファンの対抗意識を加熱させたのだ。
 この頃に歌われていた曲は『走って、止まって、また走って』など、メンバーたちが現実に直面し、揺れる姿を描いたものが多い。これにより、客層はさして広がらないものの、ファンはよりコアになり、かつ外部からは何となく「熱狂的支持を得ているグループ」に見えるようになった。メジャー化一歩手前に必要な要素を、ここですべて揃えたのである。
 そして今年の春、seasonは第三段階に進んだ。強力な話題を提供し、一気に一般層への浸透を図ったのだ。危険にもその話題はかなりネガティブなスキャンダルだったが、「華やかなステージの陰で大人たちの軋轢に悩むアイドル」というスキャンダルそれ自体が、一般の人々の興味をかき立てる物語であることは言うまでもない。グループへの認知度は爆発的に高まった。
 また、五枚目のシングル『風薫る』で本郷を単独センターに起用し、次のシングルでまた西嶋みのりとのツートップに戻すという、明らかに従来からのファンを煽るような体制変換も同時に進行された。それにより、コアなファンは一層騒ぎ、seasonを知ったばかりの一般層がさらにそれに興味を引かれる、という状態を作り出したわけである。
 そして今、seasonは第四段階に入った。ポップスの王道ともいうべき今回の『恋する惑星』によって、ついにその方向性を完全にメジャー路線に切り替えたのだ。明るく分かりやすい魅力と、苦労人という日本人の好むバックボーンを持った大原優樹乃をフロントに抜擢したのも、その一環だろう。冷遇されながらの健気さでコアな古参ファンへの訴求力を持っていた西嶋を降ろすことで、以前に必要とされてきた物語とは決別したわけである。
 このようにseasonは、明確な戦略の下、求められる物語と楽曲を提供し続けることで発展してきたアイドルなのだ。もちろん、近年のアイドルであれば、どこも多かれ少なかれ似たような戦略をとっている。しかし、seasonほどそれを徹底したグループは他にない。その計算の巧みさには脱帽せざるを得ない。
 そして当然、今後の戦略も入念に練られているはずだ。果たして次に提供される物語はどんなものであるのか。これからもseasonからは目が離せない。
 
 

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