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■ #12 ■



 後日、利き腕をアームホルダーで吊った由井が、慣れない左腕だけでどうにか作成した報告書には、「原因不明に暴走した二つの最新型強化制服を、三代目ヒロインたちが協力して捕縛した」とある。

 突如現れたジャージの少女についての言及は、一切無い。

 ユカリが、マヨのことは秘密にしておいて欲しいと強く主張したためだ。

 というのも、マヨ自身が、自分が四代目二人を倒したことをまるで覚えておらず(本人曰く「夢中だったから」だそうだ)、自分が着ているねずみ色のジャージが実は強化制服であることも未だに知らないのである。

 彼女のおかげで軽症で済んだ揚羽や梓乃としては、助けてもらったお礼をしたいのだが、本人が覚えていなくては何も言い出せない。梓乃はユカリの意見を尊重してマヨをそっとしておく方針でいるようだが、揚羽の方は、適当な理由をつけてはマヨ(と、ついでにいつも横に貼りついているユカリ)を、お茶に誘ってみたりなどしている。

 しかし、一度も成功していない。

 マヨによれば、揚羽たちを嫌がっているわけでは、もちろん、決して、そんなことはなく、むしろ畏敬の念から来る拒否らしいのだが、断わられる身にしてみれば同じことである。

 ちなみにその、揚羽と梓乃は、結局またライトニングセーラーとブレザーシャドウとして復活した。小比類巻姉妹に代わっての再登板という感じだが、「なぜかはわからないが前よりさらに素敵になった!」ともっぱらの評判で、人気はもはやとどまるところを知らないらしい。高等部三年の二人は今後受験も控えているというのに、本当に引退はできるのだろうか。

 一方、小比類巻姉妹は、遊園地からの救急搬送後、集中治療室に入れられた。

 が、翌日には退院し、包帯でぐるぐる巻きにされ現在自宅療養中。療養中の暇つぶしか何かはわからないが、最近、犬を飼い始めたのだという。しかも、ブランド嗜好の彼女ららしからぬ、雑種犬を。

 もちろん、血統書も無いような犬がセレブ御用達のペットショップで売られているはずもなく、警察に一時保護されていたというその雑種犬を無理矢理引き取るために、またも兼森がこき使われたらしい。

 ともあれ、「ザッシュ」と命名されたその小犬が、どちらの手からエサを食べるようになるのが早いか、というのが、最近の小比類巻姉妹のなによりの関心ごとだ。


 そんなこんなで、結局マヨ自身は、今までとあまり変わらない人生を送っている。

 なんとなくヒロインに憧れつつ、ユカリと一緒におにぎりを食べ、揚羽たちに話しかけられてはオドオドし、小比類巻姉妹に使役されてストレスをためている兼森に八つ当たりされイラッとしたり、その愚痴を國枝に聞いてもらい癒されたりしている日々だ。

 自分が、名実共に最強のヒロインたる資格を有していることなど、知る由もない。

 彼女がヒロインとして活躍する日は、もう来ないのだろうか?

 いや、きっと来る。どこにいても。何をしていても。誰かが困っていたら、苦しんでいたら、助けを、求めていたら。それが、誰であろうと、何であろうと。間違いなく彼女は、全力を以て助けに現れるに違いない。

 そこに、何があろうとも。


 そこに、何がなかろうとも。


 ――――――ところで。


 警視庁首都圏緊急事態対策部付警部、佐江島一俊。

 彼が別れ際に橘ユカリから受け取った、十一桁の電話番号。

 果たして彼は、その後そこに電話をかけたのか?

 それは、永遠の謎である。

― 完 ―



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