小説フリー部門

  • 小説フリー部門銅賞賞金30万円
    化野魔法記
    P.N.五米サブロウ

    あらすじ人と人ならざる者が日常的に交わる世界。ある日、K県芦穂村で、突如現れた“鬼”による住民の襲撃・拉致事件が発生した。県警の刑事・沖は、人ならざる者が関わる事件の捜査を行う“魔法士”化野霜野とともに、犯人と思われる“鬼”の調査を開始するが…!?

    講評主人公である化野のキャラ作りや、“魔法士”という職業が存在する世界観などは魅力的で面白く読めた。読みやすい素直な文体だが、物語の核となる被害者女性の心理描写は読者の感情に訴えかける熱量があり秀逸。一方、脇のキャラの弱さや、せっかくの世界観を物語であまり生かせていない点など、これから鍛えていきたい部分も散見した。成長が楽しみだ。

  • 編集長総評

    ■惜しい! ただ、ひたすら惜しい回でした! フリー部門銅賞の「化野魔法記」は、企画・キャラクター・ストーリー構成、ともに一定の水準以上のものがあり読まされました。しかしこの作品で一番印象に残ったのはエピローグ部分の、ゴツゴツした感情のパートでした。その作家にしか描けない部分を活かして次回作を書いて欲しい、という願いを込めて、あえて今回は書籍化せずの銅賞です。
     ほかの最終候補作品は「書きたいこと」と「伝える技術」のアンバランスさで、受賞には至りませんでした。プロの小説家にとって、これは車の両輪です。「書きたいこと」を、自分の心の奥まで突き詰めて磨き上げられているか? 笑いでも、感動でも、怒りでもかまいません。要素をそぎ落とし尽くして、最後に残るのはなにか? 考えてみてください。 「伝える技術」は、先人の文章の観察で、いくらでも手に入れられます。よい文章作成の指導書もあります。勉強すれば手に入るわけですから、やらない選択肢はありません。小説というわけではありませんが、唐木元さんの「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング」は、情報をわかり易く伝えるためのポイントはどこか、というのをうまく解説していると思います。 皆さんの次回作、期待しています!

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