小説フリー部門 銀賞

  • 対スライム戦績ゼロ勝勇者P.N. はむばね 【あらすじ】 影鷹月花は、五年前に魔法で召喚された『勇者』である。しかし勇者ゲッカは、魔王討伐どころか最弱モンスタースライムにも一度も勝てない、超クソ雑魚なのだった。そんなある日、しびれを切らせた魔王軍が城に攻めてきて、ゲッカはいきなり中ボスに挑むハメに! その時、奇跡が起きて……!?

    【講評】 全編を通じて一番感じたのは、作者の強いサービス精神だった。この作品の最大の謎である『最弱勇者?』問題についても、丁寧に伏線を張り、きちんと解答を用意している。また、視点を頻繁に変える手法は読者を混乱させがちだが、流れをある程度パターン化することなどで、テンポよく読めた。ギャグのキレもある。

小説テーマ部門 銅賞

  • 孫武孔明とゴシップガールP.N. 寺池晴斗 【あらすじ】 生徒会長を務める孫武孔明は、幼なじみの新任教師から、学校を良くしてほしいと頼まれ、校内のカップルを増やすことで生徒の充実感をUPさせる、校内リア充化計画を開始する。孔明は、最初の依頼人・猿渡に対し、彼女の作り方を指導して戦略を実行させていく。 【講評】 右往左往しながら周囲の信頼を獲得していく猿渡のキャラが好感度が高く、女子から好意を向けられる展開にも説得力があった。一方で、孔明自身のキャラやドラマについてはやや書き込み不足が感じられ、委員長というテーマに向き合う努力があと一歩足りなかった。

小説テーマ部門 銅賞

  • 蜜柑山聡子の好きなだけ喋っちゃって委員会?P.N. クーニー 【あらすじ】 人気動画配信者・メスタージャのファンである高校教諭の木闇は、メスタージャの正体が、自分の受け持つクラスの委員長・蜜柑山聡子であると気付く。同級生たちに文化祭準備を押し付けられた蜜柑山は、文化祭でメスタージャとしてラジオ放送を行うことになり…。 【講評】 二つの顔を持つ委員長と、その秘密に気付いてしまった教師という関係性が楽しかった。文章も軽妙で読みやすい。文化祭での放送内容がインパクトに欠けており、叙述トリックも物語の盛り上げに寄与していないので、クライマックスの作り方を磨いていって欲しい。

 今回もたくさんの投稿、どうもありがとうございます。応募総数 277本、ラブコメからファンタジーと質量ともにバラエティに富んだ、 賑やかな審査会になりました。受賞者のみなさん、おめでとうございます。授賞式でお会いするのを楽しみにしています。今回残念ながら落選した方々へ。物語を描く情熱は投稿者全員が持っています。勝ち上がるためには、技術を身につけましょう。特に「読みやすい文章を書く技術」と「物語を俯瞰して構成する技術」の2つは、きっとあなたを助けてくれます。巷に教科書はあふれています。ぜひ手に取って勉強してみてください。次回はレーベル25周年を機にリニューアルします。みなさんの力作、ご応募お待ちしています。

小説フリー部門

  • PW(ポール=ウォー)P.N. 尾道風 【あらすじ】 陽性人と陰性人という種族が、果てしない対立を繰り広げている世界。2勢力の戦争のさ中、陽性人の少年・ユミトは陰性人の少女・エファと出会う。その出会いが、永きにわたる戦争終結への道しるべとなることは、まだ誰も知らなかった……。 【講評】 構成力に致命的なものがある。後出しの設定、心情のつじつまが合っていないサブキャラクターも多く興が削がれる。プロットで要点をきちんと整理してほしかった。しかし、大長編を書き上げたことと、主要キャラクターの描写には熱意を見た。次作に期待する。
  • ひふみとんでゴー!P.N. 道具小路 【あらすじ】 高校一年生のぽんととひふみは、小学三年生からの仲良し。 夏休み初日。ふたりは、月の観察を自由研究のテーマに決める。 夜、観察をしていると、満月から古風な風体の男と巨大うさぎが降って来た。うさぎに襲われる男を、ひふみは、指先から弾丸を発射する『ぱきゅん!』という技で救ったのだが……。 【講評】 独特な文体が魅力的。ひふみの『ぱきゅん!』はじめ不思議な設定も、力づくで読ませられてしまった。しかし、読者にどんな心情を抱いてほしいのか、ということに意識を割いている形跡はなく、エンターテインメントというには難しい作品。
  • ぼっちサキュバスと救世主P.N. 遠藤直人 【あらすじ】 真面目過ぎる性格の高校生・斎藤一は、女子から偽の告白を受けた過去を引きずっていた。彼は、ふとしたきっかけでクラスメート・本庄愛に付き纏われることに。「チャームの能力を持つサキュバス」であると自称する本庄の、友達作りを手伝うことになった一だが…。 【講評】 モノローグや登場人物の会話の端々に、読者を楽しませようというサービス精神や、キャラへの意識が見て取れた。劇的な事件が起こらず、サキュバスの設定やデートの予定など肩透かしに終わってしまった部分も多く、読み手の期待に応えることを忘れないでほしい。

小説テーマ部門

  • 怪談壊P.N. 針山 【あらすじ】 幽霊を見ることができる夕雲育海は、夏休みの補習授業が終わった後に自分の教室に向かい、『怪異』と遭遇し、メリーと北条紗知と名乗る二人の少女に出会い怪異から助けてもらった。 二人は学校の怪談を管理している委員会、学校の委員長だけが入会を認められる怪談管理委員会に所属しているというのだが……。 【講評】 オリジナリティある怪談に対する解釈や設定は引きこまれるものがある。しかし、視点となるキャラクターが不在のため、この世界独自の設定を理解してもらうにはハードルが高い。読む側に伝わる表現を意識して磨いてほしい。面白いと著者が思ったことを、わかりやすく伝える表現を意識してほしい。
  • 委員長クライシスP.N. 田中ちえ 【あらすじ】 「委員長」というあだ名の高校生、逢真。あるとき彼が教室でうたた寝していると、「委員長!」と呼ばれる声と共に異世界に来ていた。その世界では委員長は賢者だと思われており、あだ名のせいで間違えられて異世界召喚されたのだった。彼に少し遅れて、絵に描いたような委員長姿の九条も召喚される。二人は世界を救うために魔王の城へ行くことになるのだが…… 【講評】 キャラクター個々の魅力があり、小粋でテンポの良い会話が楽しく読める作品。しかし、次々と出てくる説明のない情報が多すぎてまとまりがなかった。書きたい要素を厳選してよりシンプルに纏め上げると完成度が上がるはず。
  • 生徒会・イン・ザ・ミラーP.N. 松明 【あらすじ】 名門校、智久志学園に編入した平凡な学生である惣利。彼は生徒会長である蒼一から超人揃いの生徒会にリクルートされる。大企業の御曹司や柔道の達人、天才シンガー等の超人に囲まれて場違い感を抱えながらも過ごしていく。文化祭を控えたあるとき、監査委員会を名乗る組織から「生徒会諸君は罪を認め、解散しろ」という手紙が届き…… 【講評】 地の文の描写は弱いが、台詞回しの面白さがあった。叙述トリックによるどんでん返しを成立させた構成力は評価したいが、どんでん返しを作ることに意識が向きすぎて、肝心の物語のカタルシスが大きく失われてしまった。読み終わった後に嫌な気持ちだけが残ることは減点。
  • 『十一月の夢結び』P.N. 名月遙 【あらすじ】 他人に夢を見せる能力を持った少年・柊介は過去に自身の能力で幼馴染の千景を傷つけたという自責の念から無気力な毎日を送っていた。そんなある日、千景からもう一人の幼馴染である理歩を交えて遊ぶことを提案され――。 【講評】 短編という縛りの中で主人公が抱えたトラウマの説明とその解決を書ききっていることなどから筆力の高さは伺える。しかし、テーマである「委員長」の要素を削っても成立する物語であることが非常に残念だった。
  • 『こちらバレンタイン撲滅委員会です』P.N. 篠宮圭 【あらすじ】 エロ漫画家を目指す男・小波には学内でチョコを渡そうとする男女を妨害する「バレンタイン撲滅委員会」の委員長という裏の顔があった。バレンタイン当日、漫画研究部の後輩である雲出優香が誰かにチョコを渡そうとしていると知り――。 【講評】 作中の設定作りこみが甘く、主人公の心情・言動への共感や感動が薄くなっている。  しかし主人公と西崎の友情には深く胸を打つものがあり、物語を作るポイントは押さえてられていた。  応募原稿を印刷して送ってくる場合はもう少し読みやすい書式を意識してほしい。
  • 『委員長は暴虐龍?』P.N. 宇緑モリブデン 【あらすじ】 人類の敵・暴虐龍アルハンゲリスクが200年の眠りから目覚め、魔術学園に緊張が走る。しかし、目覚めた彼の言動は「清掃」を望むという意外なものだった。名ばかりの清掃委員であった乙蘭は「清掃委員長」を自称するアルハンゲリスクに巻き込まれ、学園全体の清掃に取り組む羽目になってしまう。 【講評】 世界観を細やかに作りこんでいることは伝わるが、説明不足と情報過多が重なり読みやすさが犠牲になっている。 ドラゴンのキャラクターと見せ方は良かったが、彼を動かすことだけが軸になっているため物語が平坦になっている。相方に据えた少女をもっと丁寧に書かなければバディものとして成立しない。


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