プロに聞く! ジャンプホラー小説大賞特別企画 ホラー作家になるためのQ&A

絶賛作品募集中の『ジャンプホラー小説大賞』。その記念企画として、ホラーを愛する作家の方々に、連続インタビューを行います。プロが語る、ホラーとの出会い、作品を書く上での秘訣やテクニック、心得など……受賞を目指す皆さん、ぜひ先生方の教えを、作品執筆の助けにしてください。

第9回 黒史郎先生へのご質問です。

『実話蒐録集 暗黒怪談』(竹書房文庫)
『貞子VS伽椰子』(角川ホラー文庫)
1974年生まれ。
2006年、「夜は一緒に散歩しよ」で第1回『幽』怪談文学賞長編部門大賞を受賞しデビュー。 『幽霊詐欺師ミチヲ』シリーズ、『怪談撲滅委員会』シリーズ、『未完少女ラヴクラフト』『童提灯』などのホラーや、『実話蒐録集』シリーズなどの実話怪談ものなど、怪異にまつわる作品を多数発表。
オリジナル小説の他、ゲームノベライズ『いちろ少年奇譚』、アニメ『乱歩奇譚』のノベライズ『怪人二十面相』『人間椅子』なども執筆。 最新作は『貞子vs伽椰子』。
Q1. ホラーにはまるきっかけになった体験や本、人生を変えた一冊などを教えてください。
A.

 幼少の頃です。父が三度の飯より心霊写真がお好きな人で、どこから入手してくるのか人の顔っぽいものが映っている写真をよく持ち帰ってきました。真夜中の寝室で家族三人、虫めがね片手に写真を覗き込みながら人面を探すという、はたから見ると大変シュールな時間を過ごしてまいりました。また、祖父は三度の飯より孫を脅かすのがお好きな人で、般若面をかぶって、散々ぼくを追いかけまわしてくれました。子供だからと甘やかさず、がっちりトラウマを刻んでくれた父と祖父には感謝しています。あの頃から、ぼくの人生はこっち寄りになっていったような気がします。
きっかけとなった本はたくさんあるのですが、とくに『漂流教室』『デビルマン』です。思い返してみると、人類滅亡レベルで人がじゃんじゃん死んでいく本ばかりを好んで読んでおり、昔の自分が少々心配になってまいりました。

Q2. ホラーを書くうえで大事にしていることは何ですか?
A.

 ぼくは作品の中に血や膿、裂傷や腐敗、蛆や蠅といった不快なものを書くことが本当に多いのです。ひとつの作品の中で何度も出てくることもあります。何度も使うものだからこそ、それらの表現を毎回変えるようにしています。血や蛆といった嫌悪を誘う言葉は、何度も使うと効果が褪せていきます。だから、「鉄錆色の汁を吐きながら」や「傷口にびっしり詰まっていた元気な米粒どもが」といったように、血や蛆を使わずに表現することもします。
また、恐怖の表現も工夫しています。これは恐怖の対象ではなく、そういうものと遭遇してしまった不幸な登場人物たちの感情のことです。「血の気が引いた」「青褪めた」「ゾッとした」は、日常でも使われる表現ですが、作中の登場人物たちはきっと、そんなものではすまない恐怖を体感しているはずです。腰が抜けるほど、精神が壊れるほどの恐怖を味わっている登場人物たちの目や表情、動き、精神状態などを丁寧に描写すると、それだけで怖くなります。

Q3. 作品のアイデアはどのように作り出しているのですか?
A.

 ホラーと絡めるのは難しそうなワードを拾ってきます。その後は、そのワードからストーリーを作れないかとひたすら考えます。「ドローン」と「幽霊」を絡められないか、「3Dプリンター」と「呪い」でなにかやれないか、「惑星探査機」と「心霊写真」でおもしろくできないかと考えます。通常は隣り合わない二語に無理やり接点を作り、どうにかして物語になるように繋いでいくと、初めて見るようなホラーストーリーが誕生していることがあります。
それから、ネタに困ったら散歩をおすすめします。町を歩いていると、様々な人や光景と出会えます。聞こえてきます。臭ってきます。気になるものが落ちていたなら迷わず足を止め、しゃがんで観察します。建物と建物の隙間を覗き込みます。高架下の暗がりに立ちます。そこにヒントがあるからです。散歩をして出会ったものを、わすれないうちにメモします。

Q4. デビューを目指す新人へメッセージ・アドバイスをお願いします。
A.

 人気のある椅子を大勢で奪い合うことは疲れます。それなら自分しか座らないような椅子を見つけるか、作るかしたほうが疲れません。「こんなバカな話、自分しか書かないだろうな」という作品をどんどん書いて、自分だけの椅子を見つけてください。

福澤徹三先生ありがとうございました!
ミニキャッパー周平の百物語
ミニキャッパー周平(インタビュー)ジャンプホラー小説大賞宣伝担当。ホラー小説への愛から『ミニキャッパー周平の百物語』をブログ上で連載し、おすすめ作品を不定期で紹介している。感想を含めたレビューが作品制作の助けになることを切に願っている。

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