――作品を書く上でどういったことに気を付けていますか? 自分のなかで大切にしていること、読者にどのような気持ちになってもらいたいと考えていますか?
まだまだ上手にできていませんが、簡潔で分かりやすく、その時の状況がきちんと分かるように書くことを心がけています。僕自身、活字が苦手な子どもだったので、そういう子たちにも楽しんで読んでもらえるような文章を目指しています。というか、僕には難しいお話を書くことができないので、そういった部分が貢献できたら嬉しいな、といった感じでしょうか。
大切にしている部分は、サービス精神を大いに持ちながら書くことです(笑)。そういう言い方をしてしまうとあからさまな気もするのですが、「お金と時間を使って読んでもらうのだから、それに見合う何かは提供させてもらいたい!」という気持ちだけは、昔からいっちょまえにあるんです。ですので、退屈しないように展開を多く入れたり、隙間があれば(なんなら隙間を作って)ギャグを入れたりするようにしています。ストーリーで楽しんでもらえるのならそれが一番なのですが、先述のように、僕には難しいお話は書けないので、せめて合間合間で笑ってもらえたら、という気持ちで書いています。
読者の方には、笑えるシーンでは笑ってもらって、泣けるシーンでは切ない気持ちになってもらって、かわいい女の子には萌えてもらえればそれで充分なのですが、贅沢を言わせてもらえれば、こちらが意図したテーマを汲み取ってもらえると嬉しいです。そしてそれがその人の何かに役立つことがあれば、サービス精神を重んじる身として大変嬉しいです。「面白かった!」だけの小説よりも「面白くてためになった!」小説のほうがお得感があるので。常にそう思っていただけるように、精進していきたいと思います。
――作品を書く上で、資料はどのようにして集めていますか? また、集めた資料はどの程度作品に反映されるのでしょうか?
資料は大体、本かネットで済ませてしまいます。簡単なものならネットで、もう少し掘り下げたいときは本を買って......といった具合でしょうか。その道に詳しい人が近くにいれば、その人に話を聞くようにしています。デビュー作の時だと、たまたま知り合いだった即応予備自衛官(有事や訓練の時に召集される、自衛隊を退職した人)の方からいろいろな話を聞けました。その人は現在、ライブハウスのオーナーさんをしていらっしゃるので、音楽についてもいろいろと教わりました。
反映の度合いはまちまちです。デビュー作では銃の専門知識が必要だったので、銃が出てくる部分はだいぶ反映されました。『ブラッククローバー』では剣道の専門書を買って読んだのですが、5~6行くらいしか使いませんでした。新作では最初のうちに本やネットで勉強して置いて、そこで得た知識を基に書き進めていく、といった具合です。あとテレビのアイドル特番で見た情報が、要所要所で役に立ちました。
――創作をしているなかで原稿に行き詰まることもあるかと思います。そんなときはどのように気分転換をしていますか?
散歩をしたり、洗い物をしたり、ちょっと寝転がったり、楽器を弾いたり、掃除をしたり......いろいろですが、注意していることがふたつあります。一つ目は、なるべくすぐに終わる作業を選択することです。息抜きとして始めた作業に没頭してしまうことって、皆さん経験があると思います。僕も掃除とかしだすと止まらなくなってしまうクチなので、本当に忙しい時には寝転がるくらいしかしないようにしています。時間があるときは散歩が多いです。
二つ目は、考えていることが顔に出ないようにすることです。これも「作家あるある」だと信じたいのですが、面白い展開とか思いついたりすると、顔がにやけてしまったり、ブツブツとキャラに言わせるセリフを呟いてしまうことがあるんです。散歩しながらこういう状態になると大変危険です。「あの界隈は、ニヤニヤしながら徘徊している変なオジサンが出るらしい」ってなってしまいますから。割と本気で気を付けていますね、それは。
――これがなくては仕事にならない! というものはありますか? 普段の執筆環境について教えてください
書いている最中はタバコがないとダメです。いや、執筆中というよりか、常に必要にとしていますが......ともかく。アイコス、プルームテック、普通のタバコ、すべて吸います。TPOに応じて使い分けている感じですかね。部屋の中ではアイコスとプルームテックしか吸わないことにしているので、執筆中はこのふたつが生命線です。
部屋の壁には、ジャンプフェスタなどで担当編集の方からもらったものや、趣味のサバゲグッズ、今までに出した本などの、「好きなもの」を飾っていて、行き詰って寝転がったときなどは、それを眺めてモチベーションを高めています。写真は一部で、ほかにもたくさん飾ってあります。
――小説を書く際に、小説を読むこと以外で役にたったことがあれば教えてください。
高校の頃からバンド活動をしているのですが、その経験は地味に活きています。キャラや魔法の名前などで迷ったら、とりあえず音楽用語から拝借しているし、デビュー作に登場する「レグバ」という悪魔のキャラは、音楽の有名な逸話から着想を得ました。また、新作で「ハニコム」という歌が作中に登場するのですが、これも4年くらい前に僕が作詞・作メロディラインをした歌の歌詞を使っています。
それと、今までにとったメモも役に立っています。小説を書き始めるようになってから、知らない言葉や面白そうなものを見たり、何かを思いついたりするとスマホでメモをするようにしているのですが、それを眺めながらお話を考えることが多いです。でも、「パチンコの要領で船を吹っ飛ばすアトラクション」とか「消防署の裏でチリンドロンとアロマオイル」とか、わけのわからないことが書いてあることもあります。酔っぱらってるときにでも書いたのでしょうが、それにしたってどういうつもりで書いたのでしょうか......。
あとはやはり、友人たちの存在でしょうか。僕はあまり自主的に動く人間ではないので、友人に誘ってもらわなければ、バンドなど色々なことは経験することもなかったでしょう。出会いって大事なんだなあ、と、オジサンになってしみじみ思うようになりました。
――今後どのような作品に挑戦したいか、また構想中の作品などあれば教えてください。
前々から挑戦したいと思っているのはホラーです。ギャグとホラーってものすごく相性が良くて、僕自身がそのふたつを組み合わせている作品が大好きなんです。真倉翔先生・岡野剛先生の『地獄先生ぬ~べ~』とか、押切蓮介先生の『でろでろ』とか。だから魅力的な企画さえ思いつけば(それがだいぶ大きな壁なのですが......)、ぜひとも挑戦してみたいです。とはいえ、異世界転生というジャンルのなかでも、挑戦したいことはたくさん残っています。今考えているのが、ギャグとホラーと異世界転生を組み合わせたお話なのですが、それが形になる日が来るように頑張ります。
構想中の作品は『魔王をプロデュース!』の続編なのですが......出るかどうかは分かりません(笑)。まだこのインタビューを受けているときには発売されていないし、売れ行きを確認しないことにはなんとも......。ですが書けることになったら、今作以上に笑えて泣けて萌えられる作品を目指します。新キャラがたくさん出ますよ! アイドルのメンバーも増えます!
あとは『ブラッククローバー』でもまだまだ書きたいお話が残っているので書きたいです。すでに企画書は提出してあるので、打ち合わせを重ねていきたいと思います。
――これからJUMPjBOOKSの小説賞に応募される方に応援メッセージをお願いします!
JUMPjBOOKSは新人に対して門戸が広く、デビュー後もすごくしっかりと面倒を見てくれるレーベルだと思います。僕のようにあか抜けない作家がデビュー三年目を迎えられたくらいですから、それは間違いないです。だからデビュー後のことは心配せず、どんどん応募をしていきましょう。
それと、これは言うまでもないことですが、ジャンルにとらわれずたくさんの小説を読んで、今のうちにしっかりと知識や技術を蓄えておくと良いでしょう。本当に当然のことなのですが、僕は中学卒業後からしばらくの間、書から離れていた期間がありました。そこで得られたものもありましたが、それは本を書く上での知識や技術に直接つながるものではなかったので、デビューした今となってはだいぶ後悔しています。デビュー後は忙しくなり、読書をする時間も確保しづらくなるので、今のうちにたくさん読んで勉強しておくことをお勧めします。
あとペンネームは真剣に考えましょう。さもないと「ジョニー音田」といったような、名乗るほうも呼ぶほうも恥ずかしい思いをするペンネームで活動することになってしまいます。なにとぞご注意を!
ここまで読んでくださってありがとうございました。皆さんと一緒にお仕事ができるのを楽しみにしています。一緒に頑張りましょう!!
ジョニー先生ありがとうございました!!