――8月25日に新作『魔王をプロデュース! ドルヲタの俺が異世界で亜人種アイドルユニットのPになるまで』が発売されましたが、この作品を書くことになったきっかけはどんなところにあったのでしょうか?
昔からバーチャルアイドルの初音ミクが大好きで、アイドルや音楽を絡めた小説が書いてみたかったんです。ですので、数本の企画書を書いてみたのですが、出来上がったのは、「武装したアイドルたちが血で血を洗うような抗争を繰り広げる話」や「アイドル達がVRMMOで活躍して人気ランキングを上げていく話」など、需要を見失うどころか自ら外しにいっているとしか思えないような作品ばかりでした。そこで原点である「異世界転生」と結び付けてみたところ、意外とすんなり企画書ができあがったんです。それを何回か改稿して今の形に持っていった、という運びです。
......それはそうと、あの......ホント、企画力つけるように、頑張ります......(震え声)。
――本作では異世界に転生した主人公が、転生先の世界の魔王をプロデュースしてアイドルにするストーリーになっていますが、ご自身がアイドルを好きだったり、執筆にあたってアイドルのことをかなり調べたりはしたのでしょうか?
先述のように、バーチャルアイドルの初音ミク(というかボーカロイド全般)が大好きです。好きすぎて初音ミクの二次創作を71万文字くらい書いていた時期もありました。ボカロ曲も60曲くらい歌えるし、ボカロ曲を意識した曲も作ったことがあります。貧乏なので「お金を使う」という面での貢献はできませんでしたが、情熱だけは人一倍傾けてきたつもりです。というか今でも傾けています。本作の主人公とはベクトルが違うかもしれませんが、僕もある程度の熱量を持ったドルオタなのです。
三次元のアイドル(という言い方が正しいのかは分かりませんが)はあまり詳しくなかったのですが、本作を執筆するにあたって詳しく調べているうちに、どんどん好きになりました。楽曲を聞くもよし、ダンスを見るもよし、成長を見守るのもよし、サイン会に足を運ぶもよし......と、本当に幅広い楽しみを提供してくれる人たちなのだと、あらためて実感しました。職場にいるアイドルに詳しい後輩にお願いして、今度地下アイドルの方たちのライブを見に行くことにしました。楽しみです。
――ライトノベルレーベルのダッシュエックス文庫からの刊行となりましたが、作品を作る中でこれまでとの違いはありましたか?
文字数を多く書けるという部分に大きな魅力を感じました。小説投稿サイトの出身なもので、お話を短くまとめるというのがどうにも苦手(投稿サイトでも短くきれいにお話をまとめている方はたくさんいますが)で、後半はいつもページ数との戦いになっていました。ですので、いつもよりも40ページ近く(単行本換算で80ページ)書けるのはありがたかったです。とはいえ、お話をスリムに書くというのは必要不可欠なスキルなので、きちんと使いこなせるようにしていきたいです。
また、『英雄教室』や『パパのいうことを聞きなさい!』、『「まもの」の君に僕は「先生」と呼ばれたい』など、ほかにもダッシュエックス文庫には愛読している作品がたくさんあるので、同じ本棚に陳列されると思うと嬉しいです。
――ライトノベルということを意識して、キャラクター作りでこれまでと変えた部分はありましたか?
単純なことで申し訳ないのですが、女子をたくさん出すことを心がけました。昨今のラノベの人気キャラって、女子のほうが圧倒的に多いイメージがあったんです。男子の人気キャラは主人公が大多数を占めるけど、女子なら脇役でも人気キャラとして浮いてくる可能性がある。だから少しでもその可能性を高めようと思って、「このキャラはかっこいいオッサンにしたいけど、妙齢の女子にしよう!」といった具合で女子のキャラを量産しました。その結果、量産しすぎてキャラがかぶり始めました。「かぶってる......かな? いや、でもかぶってない気もしてきた。うん、たぶんかぶってない」と思って担当編集の方に見てもらったところ「かぶってるね」と言われ、悲しい顔をしながら書き直しました。キャラの人気を意識するのも良いかもしれませんが、まずは書き分けが上手にできるように頑張ります。
――執筆するうえで、ここはこだわった、読者の方にぜひ読んでもらいたいという部分はありますか?
こだわりと言うほど大げさなものではないのですが、キャラ同士の掛け合いとギャグは昔から力を入れてきた部分で、今回も面白く書けるように頑張りました。少しでも笑っていただけたら幸いです。
ぜひ読んでもらいたい部分は三章でしょうか。第一稿を書き上げたのち、全体を通して担当編集の方から直しが入ったのですが、三章は特に大きく直しました。だいぶ苦労をしましたが、それだけにたくさんの展開を入れられて、お色気シーンやギャグシーンも満載になりました。そちらもお楽しみいただけたら嬉しいです。
それと今回は全体を通して、とにかく女の子をかわいく、きれいに、エロく書くことを心がけました。白狼さんの描きおろしてくださったかわいらしいイラストとも相まって、大変けしからんことになっています。その辺りも必見です。
というかこの小説、白狼さんのイラストを見るためだけに買うのでも、十分価値があるものとなっています。白狼さん、素晴らしいイラストの数々をありがとうございました!
――本作やデビュー作、『ブラッククローバー』のノベライズなどで一貫してファンタジーを描かれていますが、題材へのこだわりがあったり、ファンタジーを書くうえで気をつけている部分などはあるのでしょうか?
題材にこだわりはないのですが、ファンタジーは昔から読み書きしてきたジャンルなので、単純に一番書きやすいです。ですがもちろん「ファンタジーじゃなければ書かない!」というようなこだわりはないので、いろいろなジャンルに挑戦してみたいと思っています。ホラーとか、学園ものとか。
ファンタジーを書くうえで気を付けていることは、世界観や設定などの「ルール」を作りすぎないようにすることです。ファンタジーって何をやっても自由なので、だからこそ自分が定めたルールは重要な意味を持ってくると思うんですが、それに縛られ過ぎてしまったら、結局ファンタジーのメリットが潰れてしまうように思うんです。ですので、ルールは必要な分だけしか作らないようにして、そこから足したり引いたりするようにしています。でも今のところ、最初に設けたルールの中でやりくりすることが多いです。
次回更新は9月25日更新予定!!
創作の秘訣や今後やりたいことをお聞きしました!
お楽しみに!!