――小説を初めて書いたのはいつごろだったのでしょうか? きっかけとあわせてお答えください。
初めて書いたのは小学校高学年の頃だったと思います。妹がいるんですけど、遊びの一環のような形で、お互いに小説を書いて見せ合ったりしていました。そこからずっと大学ノートにキャラクターの設定を作って、小説のようなものを書いていました。そのときに書いた内容は龍とかが出てくる異世界ファンタジーだったと思います。
――遊びのような形でずっと小説を書いてこられたとのことですが、具体的にプロデビューを志したのはいつ頃からだったのでしょうか?
初めて意識したのは高校の進路を考えるときだったと思います。ただ、目指したからといってそんなすぐになれるわけもなく、そのときは普通に高校に進学しました。高校時代には投稿を始めたので、それぐらいから本格的にプロデビューを目指しはじめました。
――デビューするまでJUMP j BOOKS以外の新人賞には投稿されていましたか? 投稿されていた場合はその経験から得られたことを教えてください。
高校生の頃、初めて投稿したのは電撃小説大賞でしたね。それは箸にも棒にもかからず、一次選考で落選してしまいました。後はジャンプ小説新人賞にしか投稿してなくて、この賞で初めて一次選考を通過しました。お知らせを見たときには画面を見て号泣してしまいました。
得られた経験があるとすればちゃんと推敲をすることになったことでしょうか。最初は書いたら書きっぱなしにしてしまっていたので、何度も何度も読み直して書く癖をつけていきました。
――周囲の方に応募する小説を読んでもらうことなどはありましたか?
高校の頃は文芸部に所属していて、そこで自分の書いたものを読んで評価をしてもらうことは多かったです。最初に応募したものは、私が投稿していることを知っている友達に読んでもらいました。高校卒業後には専門学校に通っていたのですが、文芸とは全く違う関係の分野を勉強する所だったので、周りの人に読んでもらうということはあまりなかったです。JUMP j BOOKSの賞に応募した作品は自分ひとりで推敲して送りました。
――自身に影響を与えた作品のタイトルと、好きだった点をあわせてお聞かせください。
結構幅広いジャンルを読んでいたと思うんですけど、特に小野不由美先生の『十二国記』がすごく好きで、当時は麒麟とか中国系の昔話に登場するような幻獣が出てくるのが嬉しくてよく読んでいました。動物がすごく好きなんです。
実家が自然に囲まれている場所で、野生の動物がたくさん生息しているんですよ。小さい頃から動物には慣れ親しんでいたので、そういうところに動物好きの影響はあると思います。虫や爬虫類も全然平気なんです。
初めて応募した作品も、過激派の動物愛護の団体が登場してくるとんでもない作品でした(笑)
――『きょうは会社休みます。』のノベライズも担当されましたが、少女漫画も好きでよく読まれるのでしょうか?
この作品自体はお仕事をいただく前にも好きで読んでいたんですけど、少女漫画自体は友達に勧められたものぐらいしか読んでこなかったんです。私自身も恋愛に関しては疎くて、高校時代の同級生にもなんでその仕事もらえたのと聞かれてしまいました(笑)
――なぜこのノベライズを引き受けようと思ったのでしょうか?
お話をいただいた時は嬉しくて、書かせてもらえるなら! と思いましたが、恋愛という不得手な分野を引き受ける不安もありました。ただ、少女漫画を小説にするうえで、共感という部分は絶対に必要になってくると思うんですけど、この漫画のノベライズに携わることで心情描写をうまく書けるきっかけにもなるかなと考えました。 それと担当編集の方から言われたのですが、主人公の花笑さんは一般的な女性の立場で描かれているので、むしろ恋愛慣れしている人よりも、普通の女性が書いた方がより共感しやすい文章を書けるんじゃないかという狙いがあって話をふってくださったみたいなんです。 ただ、結局少女漫画的な指導は全部男性の担当編集の方から受けるという結果になってしまったんですけど(笑)
――ジャンプ小説新人賞に応募しよう思った理由はどんなところにあったのでしょうか?
もともと乙一先生の『夏と花火と私の死体』が好きで、JUMP j BOOKSというレーベルを知るきっかけになりました。そこから漫画の小説版があるということも知って、それを買ったりという流れがありましたね。
ジャンプ小説新人賞に応募した作品は『白鯨』をモチーフにした作品だったんですけど、これは原作の『白鯨』をできれば漫画で読みたいなと考えていたこともあり、受賞したら漫画にしてもらえるのではという勝手な妄想をしていました(笑)。すごく飛躍していて、漫画になるわけないんですけど、これを文芸誌に送ってもまず漫画化はされないだろうという思いから、「ジャンプ」の名前が付いたジャンプ小説新人賞に応募したという経緯がありました。
――応募作はどれぐらいの期間をかけて書かれたのでしょうか? また、応募するとき自信や手ごたえはあったのでしょうか?
作品自体は高校時代の終わりに書いていて、小説賞には送らず放っていたんですけど、それを専門学校のときに書き直したという感じです。パソコンを替えた際のデータ移行のミスがあって原稿用紙100枚分ぐらいデータがなくなるハプニングがあったんですけど、トータルで一年間ぐらいの時間をかけて書いていたと思います。
応募の時にはまったく手応えがなくて、送れたことに満足していました。とりあえず次を書こうという感じでした。
次回更新は6月13日予定!!
デビューまでに行ったトレーニングとは?
お楽しみに!!