――作品を書く上でどういったことに気を付けていますか? 自分のなかで大切にしていること、読者にどのような気持ちになってもらいたいと考えていますか?
自分が読者の時には、スッキリできる読後感と「つまり作者は何が言いたいんだ?」が分かる作品を求めてるので、自作でも忘れないようにしています。
何より、読む人の存在を忘れないこと。「テレビは流しっぱなしでもなんとなく理解できるけれど、小説は積極的に読もうとしなければ理解できない。『読んでもらっている』という気持ちを忘れない」......というのが心の師匠の教えなので、気をつけています。
読者の方には、まず驚いてほしいです。でも、ただ驚くのではなく、「納得できる驚き」を体験してほしいので、しっかり伏線を張って「トリッキーなプロットを、安易な後出しをせずに最後まで書ききること」を意識してます。同じく心の師匠の教えです。僭越ながらお名前を挙げます。綾辻行人先生です。講演会でお話しされていました 。
――作品を書く上で、資料はどのようにして集めていますか? また、集めた資料はどの程度作品に反映されるのでしょうか?
ネットで検索して、関連する書籍を図書館や書店で集めています。現地に行ったり取材をすることもあります。今回は高校生の甥っ子にそれとなく学校のことを聞いたり、小学校の教師志望の方に少し話を伺いました。
作品への反映自体は調べた量に対して五パーセントくらいですが、知識や情報は血肉になっているので問題ないです。また他の作品で使ったり、発想の元になってくれます。
集めた資料を取り込まなければ、「名前」の重要性も、「国語を学ぶこと」の大切さも描けませんでした。
――創作をしているなかで原稿に行き詰まることもあるかと思います。そんなときはどのように気分転換をしていますか?
身体を動かします。てき面に効くのは掃除と散歩です。公園へ足を伸ばしてみて、地域で飼っている猫の方々からモフモフのお恵みを賜ったり、木や花や、池の鴨や亀をぼーっと見ていたりしたら、たまにひらめきが下りてきます。
好きな映画を観るのもよいです。自分が何に魅力を感じるのか確認できて、且つ構成の勉強にもなります。
もうどうにもままならなくなったら、完全俺得作品を書き殴ります。テーマもプロットも伏線もなく、荒唐無稽ご都合主義上等、「私こそルールだ」の合言葉と共にただ思いつくまま手が動くまま一作書き上げる。完結しなくてもいいし、時間がかかってもいいです。そうすると、めちゃくちゃ楽しいのでオススメです。
――これがなくては仕事にならない! というものはありますか? 普段の執筆環境について教えてください
飲み物とミント系タブレット。飲み物は白湯か無糖炭酸水かミネラルウォーターです。究極は水道水でいいです。
文房具はボールペンと殴り書き用の紙と付箋です。
付箋は普通の紙製、フィルム付箋、トレぺ付箋と三種類使います。栞にしたり、資料に貼ったり、イベントを書いて順番を入れ替えたり、台詞を足したり......推敲・校正時にも大活躍です。
紙はA4コピー用紙が最適で、執筆前はネタ出し、プロットまとめ、下書きなどに使い、執筆中は図解を描いたり落書きしたりと便利です。
そうしたできた物語の地図や思いついたメモは、執筆が完了するまで壁に貼っています。
――小説を書く際に、小説を読むこと以外で役にたったことがあれば教えてください。
最近は万事が役に立つなぁと実感しています。人と楽しい時間を過ごす、面白い作品に触れる、おいしいごはんやお菓子を食べる、きれいなものを見る......日常の全部がインプットで、それを経て、小説を書くというアウトプットに繋がりました。
むやみにウツウツした日になっても、仕事や日常で嫌な目に遭っても、空が青でも灰色でも赤でも黒でも、引き出しが増えたと考え方を変えることだってできます。
あと、ネタ出しに行き詰まった時、人と会話するとパッと閃くことがよくあります。アイディアからうまい言い回しまで色々と。
――今後どのような作品に挑戦したいか、また構想中の作品などあれば教えてください。
王道でベタな設定が好きなので、いわくつきの館、からくり仕掛けの日本家屋、呪われた一族、因習に縛られた村を作りたいです。細部まで作り込んで、事件が起こって解決して、最後はすべて燃やし尽くすという醍醐味を味わいたいです。
次は迫りくるバッドエンドをぶん殴って、力技でハッピーエンドにさせるような、つよい話が書きたいです。
構想中の作品は、霊は視えるけど「悪霊退散!」ができない霊能力者の退魔もの、家畜が人型に進化し、人間が家畜に転換できる世界のサスペンス、漫画家と熱烈なファンのサイコホラーなどを考えています。ホラー以外の、ミステリー、コメディ、ヒューマンドラマその他も大好きなのでどんどん書いていきたいです。
――これからJUMPjBOOKSの小説賞に応募される方に応援メッセージをお願いします!
一読者としての希望になりますが、面白い作品を読ませてください。できればホラーで、萌えと笑いと涙があると最高です。ただ、ホラー小説を書いていると暗い所やガサガサした音が異様に気になって怖がりになってしまうので気をつけてください(笑)
経験からWeb応募推奨派ですが、あまりにもギリギリになるとパソコンの調子がおかしくなったりネットに繋がらなくなったり、不測の事態に陥ることもあるのでやっぱり余裕を持った方がいいです。
推敲も重ねれば重ねるほど良くなりますが、こだわればキリがないのも事実でどんなに気をつけても謎の誤字脱字や矛盾が後から出てくるのもまた事実、ほどほどが最適でした。
何より、身体に気をつけてください。健康第一、〆切遵守、楽しむ、でお互いがんばりましょう!!
鳥谷先生ありがとうございました!!