私は将来、漫画家になりたいと思っています。ですが、なかなか絵が上手くなりません。年齢的にも焦りが生まれだしています。そこで質問させていただきたいのですが、許斐先生は漫画家になるためにどのような努力をしてきましたか?また、どのくらいの年齢の時に漫画家になろうと思ったか、漫画家になれた時にどのようなことを思ったか、などを伺えたら嬉しいです。
ひなたさんは、絵が上達しないのが悩みということですが、実は私も絵が下手だったんです。ただ、絵が上手じゃなくても漫画家になれる人はたくさんいます。漫画の面白さや魅力は、絵だけではないですから。現に、魅力的なキャラクター作り、緻密なストーリー作りに才能を発揮する人もいますしね。それに、連載してしまえば強制的に漫画を描かなければならない日々が続きます。そうすると自然と絵は上達していきます。だから絵の上手下手よりも、何を描いたら面白いのか、どのように描いたら読者が喜ぶのか、そういった内容面の向上を目指して頑張ってください。
ちなみに私が本気で漫画家になろうと思ったのは大学3年生くらいの時です。小さい頃から絵を描くのは好きだったので、それこそ小学校・中学校の卒業文集でも将来の夢は「漫画家」でした。でも当時描いていたのは、動物や昆虫、建物、風景とか"写実的な絵"ばかりで、簡略化された"漫画の絵"じゃなかったんですよね。でもこの経験が活きているのか、どんどん上達していきましたね。だから、それでも「絵がもっと上手くなりたいんです」って思うなら、デッサンの勉強をすると上達すると思いますよ。デッサンを学ぶことで、人間の骨格が分かったり、筋肉のつき方・動き方が分かったりしますからね。あと、世の中にはお手本になる漫画家がたくさんいますので、それらの人の作品を模写したり、参考にして描いたりすると、色々な発見が生まれてすぐに上達すると思います。ひなたさんはまだ若いですし、焦る必要はないです。これからたくさん成長していけると思いますよ。
最後に「漫画家になった時にどのようなことを思ったか」ですが、この先もずっと漫画家として続けられるのかという不安な気持ちでしたね。こんなことを言うと怒られてしまうかもしれませんが、デビュー当時は、25年間も漫画家をしているなんて想像すらしていなかったです。10年後には違う職業に就いていると本気で思っていましたね。でも、自分は生粋の漫画家だなって今は思いますけど(笑)。