メモが好きだ。わたしはメモを愛している。メモを取っているときが、仕事で最高に気持ちいい瞬間である。たまに、メモをすることのほうが目的化していることすらある。本末転倒である。メモするだけの仕事ってないかな、そう思うときもある。時間を忘れて没頭できる作業のひとつである。
こないだ作家先生との打ち合わせで、先生が「50歳から死ぬまでに、少なくとも7〜8,000万円かかる」と言っていたのでノートにメモしていたら、同席した同僚から「それ、メモするんですか?」とツッコまれた。たしかに、とくにメモしておく意味はないが、メモしてしまったんだからしょうがない。こういう具合に、無意識にメモは増えていく。
メモを読み返しながらパソコンに打ち込み、データ化して整理するのも、メモの醍醐味のひとつである。メモを読み返せば、打ち合わせの内容がよみがえる。ベテラン作家に聞いた創作の極意、デザイナーがおすすめする展覧会とその感想、印刷所から伝達された超やばいスケジュール。そうそう、そんなこともあったよね。
たまに、読み返しても思い出せないメモが混じっていることがある。なんでメモしているのか自分でもわかっていないときがあるのだから、しょうがない。ちょっと前のだと、これだ。
「最高の打ち立て麵 2018/03/21 6:12地図」
iPhoneでメモしたメモは、入力した時間と場所まで記録しておいてくれる。なんて嬉しい機能だろう。朝6時。難しい時間だ。早朝の出社移動中に旨そうなうどん屋でも見つけたのか、あるいは、どこかのラーメン居酒屋で朝まで飲んでいたのだろうか。そういうときこそ地図ボタン。どこでメモされたものなのかわかるのだ。ポチっと。家だ。なにもわからない。
こうしたメモは、「思い出せないメモ」というフォルダに入れる。ふと見返したときに思い出すこともあるし、永遠に思い出せないこともある。こういう具合に、わたしの愛するメモは増えていく。