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レーベル創設から25周年を記念してJUMP j BOOKS小説賞出身の先生方へのインタビュー を掲載!!受賞当時の思い出や、あの名作がどのように生まれたのかなど、普段は聞くことのできない先生方の貴重なお話が満載ですよ♪

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松原真琴
(まつばら・まこと)

著者略歴
第11回ジャンプ小説大賞入選。同賞受賞作『そして龍太はニャーと鳴く』でデビュー。他に『そして彼女は拳を振るう』から続く「彼女シリーズ」(全3巻)や『BLEACH』のノベライズなど著書多数。
第3回 07.17更新 『BLEACH』ノベライズはこうして作られていた!

――『BLEACH』のノベライズを数多く手がけられてきていますが、久保先生と打ち合わせをしながら執筆されたりするのでしょうか?


 基本的には、書く前に簡単な流れだけをお伝えして、あとは完成してから確認していただくという形でずっとやっていたんですが、『WE DO knot ALWAYS LOVE YOU』のときだけは久保先生に色々と話を伺いながらストーリーを作っていきました。この作品は『BLEACH』の最終回までの空白の10年を埋めるという内容になっていたので、逆に自由度が高すぎて...その間に起きたことや設定などを確認する必要があったんです。
 連載が終了した後に、他に『BLEACH』のノベライズを手がけていらっしゃる成田良悟先生と一緒に、久保先生に設定等について何でも聞きたいことを聞いていいという夢のような会が開かれたんです。そこで、こういうキャラを出したい、こんなことをやってみたい、という話を久保先生に確認していきながら、ストーリーを膨らませていきました。

――ノベライズを手がけるにあたりどんなところに注意して執筆されますか?


 とにかくイメージを崩さないということです。『BLEACH』のノベライズをやらせてもらえるとなったときには、毎回そこまでに出ているコミックスを3周読み直すということを儀式的にやっていて、それをするとだいぶキャラクターが体に馴染んでくるというか...。人様の作品なので本当に扱い方は慎重にしないと、という思いが常にあります。
 ただ、私も読者として見たい部分というか、このキャラのこういう面が見られたら面白いんじゃないかな? と思うところがあるので、それをどれくらい入れるのかという匙加減が難しいですね...。もちろんノベライズする作品によって必要なスキルとかも変わってくるとは思います。

――作品によって注意すべきところが変わるとのことですが、特に『BLEACH』ではどのようなことがありますか?


 一護のセリフを考えるのが特に難しいので慎重に書いています。ルキアのセリフはすっと浮かんでくるんですけど...。これは『BLEACH』に限らないと思いますが、主人公のセリフって原作者の方にしか書けないものだと思っているんです。主人公って成長していくので。だから、一護が言いそうなセリフは思いついても、このタイミングで、この場面で、こんな感じで喋るのか、という疑問は常についてまわりますね...いつも最後まで考えているのは一護のセリフです。

――7月4日に『映画ノベライズ BLEACH』が刊行されました。実写映画のノベライズを手がけられるのは初のことですが、大変なところなどはありましたか?


 今までのノベライズのなかで一番難しかったです...! 映画はやっぱり漫画とは違う盛り上げ方だったり、尺が決まっているなかでストーリーが展開していくので、どうしても原作と違う部分がでてきてしまうんですよね。映像には映像のよさがあって、それも含めて脚本が書かれていると思うんですが、それをそのまま文字だけのものにしたときに、どうしてもキャラのセリフや動きに違和感が生じてしまう部分があって、そこを読者がスムーズに読むためにはどうしたらいいのかという部分が難しかったです。映画の雰囲気も残しつつ、原作との乖離が大きくならないようにと気をつけながら書いていきました。

――本作はどのようなところが見どころになっているのでしょうか?


 映画にしかないシーンやノベライズにしかないシーンというものもあるので、そこは映画と合わせて楽しんでもらえたら嬉しいです。それとさっきも言った、映像を文字に落とし込んだときに違和感がないように気をつけて書いたのと、キャラのセリフなどはできるかぎり原作に寄せているので、そこも楽しんでいただけたらなと。

©久保帯人/集英社
©2018映画『BLEACH』製作委員会
画像注:新作『映画ノベライズ BLEACH』

――ノベライズに携わることでのやりがいはどんなところにありますか?


 やっぱり好きなキャラを動かせたり、好きなシーンを書けたりするということですかね。もちろん原作を壊さないようにしなければいけないんですけど、それを公式として出すことができるっていうのは、信じられないくらい嬉しい...!
 『WE DO knot ALWAYS LOVE YOU』のなかで浮竹が海燕のために用意していた隊首羽織を、京楽がルキアに渡すシーンがあるんですが、このシーンは久保先生からもいいねと言っていただけて...『BLEACH』は受け継がれていく物語だと思っているので、この場面を書けたことは嬉しかったです。

――ノベライズを通して創作活動に影響を受けた部分はありますか?


 語彙力が増したというのは確実にあると思います。『BLEACH』って難しい言葉が良く出てくるので、辞書で調べたりしてこういう意味なんだと思いながら書いていましたね。『BLEACH』で初めて知った言葉はたくさんありました。
 あとは、キャラクターの立て方というのを学びました。文字でのキャラの立て方って、結局口調やセリフになると思うんです。『BLEACH』はキャラの口調とかセリフも独特なものが多くて、もちろんそれも勉強になるんですが、キャラを作る上で大切なこととして、「シルエットにしても誰かがわかるようなキャラがいいキャラだ」ってよく聞きますけど、『BLEACH』のキャラってまさにそうで。個性が外見に滲み出しまくってるな、と。文字だとキャラの外見の描写はざっくりで済ませてしまうことが多いんですが、文字といえども、そこにもっと力を入れたほうがいいなと思うようになりました。

次回更新は7月24日予定!!
オリジナルとノベライズ執筆の違いとは?
お楽しみに!!

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