――第3回ジャンプホラー小説大賞の銀賞受賞となった当時のお話を伺いたいと思います。受賞の連絡を受けたとき何をされていたのか、また当時の気持ちを教えてください。
電話をいただいた時は外出していた時で、銀賞受賞を聞いて控えめに喜んだことを覚えています。僕は数字の3に思い入れがあるもので、この第3回で受賞できたことは僕にとってかなり意味のある出来事だったように思います。
同時にやはり大きな不安もありました。とにかく僕は怖気づく性格なもので。素人同然、小説のこともろくに知らず、ましてや読書自体にそこまでどっぷり浸かっていない自分がこれから作家として活動していくかもしれないワケですから、喜びと不安の入り交じる受賞連絡でしたね。それでもやはり、これから作家としての人生を歩む自分を色々とシミュレートして数日は空想にどっぷり浸らせてもらっていたので、喜びが大きかったんでしょうね。
――結果は週刊少年ジャンプにも掲載されましたが、それを見てどのように感じましたか?
週刊少年ジャンプにも載っていたんですね。申し訳ないです、知らなかったもので。
今この瞬間の感想になってしまいますが、週刊少年ジャンプに自分の名前が載っていたことを想像すると、不思議な感じですね。
僕は小学生の頃に、父が毎週買っていた週刊少年ジャンプを読んでいました。父がドラゴンボールのファンだったので、最終回が掲載されてからもしばらくは購読していましたね。
中学生になって自分の小遣いでジャンプを買うようになって、ジャンプの漫画を見て育った自分にとって、受賞した作品と名前が週刊少年ジャンプに載ったという事実は嬉しいなんてものじゃありませんね。古本頼りになってしまいますが、今からでも入手したいと思います。
※後日編集部より郵送しました。
――授賞式の思い出についてお聞きします。初めて編集部に足を踏み入れたときの気持ちを聞かせてください。
これはかなり緊張しましたね。最初、入り口から中を覗いて、デスクを見回して、怖気づいて数分ウロチョロしていた記憶があります。つい数年前まで自分とは一生縁がないんだろうなと思っていた集英社の編集部に自分が足を踏み入れるなんて、そんな一幕が僕の人生に存在するとは思いもしませんでした。
編集部前の廊下にジャンプキャラのポスターだったり看板だったりが並んでるんですよね。上でも書いたとおり、やはり自分も週刊少年ジャンプの漫画を読んで育った元男の子だったもので、見慣れたキャラクターたちで敷き詰められたその空間に緊張しつつも感動したことを覚えています。
――初めて担当編集者と話をしたときどんな印象を持ちましたか?編集者から投稿作への評価についても聞かせてください。
漠然とイメージしていた編集者の方というか、自分がマンガやドラマなどを見て思い描いていた編集者のイメージ通りの方でしたね。丁寧な話し方で、ちょっと一歩引いた考え方と喋り方をしておられるというか。作品を客観的に評価していただけるので、プロの編集者ってこんな感じなんだなぁとある種感動したところもあったと思います。
担当さんからはやはり『キャラ』がいいとのことで、そこは狙い通りだなと思った反面、やはり自分の話作りの拙さとプロット作成後の見切り発車を改めて自覚した感じでもありました。それでも、褒められた部分には自信がつきますし、ダメな点については改善を図ろうという意識も生まれるので、自分の作品に他者の目線が入ることの大切さを実感しました。
――受賞から半年ほどでのデビューとなりましたが、その間に受賞作の改稿などがありました。投稿作との執筆と職業としての執筆ではどのような違いがあったのか教えてください。
投稿時はやっぱり甘えがあるというか、自分自身「これは無理ある展開かなぁ」とか、「この展開単調かなぁ」など改善すべき点に気付いているにも関わらず強引に押し通してる部分がいくつかあったことを自覚していました。変にポジティブになるというか、そこまで読者も気にならないだろうという考えを押し通して見ないフリをするというか。
それを編集サイドが目を通して、案の定指摘されるワケですね。それ以外に、自分が純粋にイケると思っていた展開であっても、指摘を受けることもあって。作品をより良くするために手抜きはできないし、手抜きをしていなくてもベストじゃない展開の場合はベストな展開を探らないといけない。そこが『趣味』として書いた投稿時と、『仕事』として書く改稿時で明確に違うなと感じた部分であり、意識した部分でもあるかなと思います。
次回更新は4月26日予定!!
デビュー作の魅力について語っていただきます!!
お楽しみに!!