――受賞の第一報を受けとったとき何をされていたのか、また当時の気持ちを教えてください。
高校時代から仲良しの友人と新宿で映画を観ていました。その後、南口のスタバに入ったところで着信に気づき、慌てて折り返したんです。――そこからはもう、半日くらいぼーっとしていたんじゃないでしょうか? 興奮のあまり、なんの映画を観ていたかすら忘れてしまったのですが、やさしい友人が我がことのように喜んでくれたことと、しばらくしてから、ふつふつと込み上げてきたすごく純粋な喜びを未だに覚えています。
――初めて編集部に足を踏み入れたときの気持ちはどんなものだったのでしょうか? ご自身の想像とは違ったりした部分などがあればお聞かせください。
それこそ、気持ち悪くなるほど緊張していました。吐きそうなのを通り越して、倒れそうでした。想像と違ったのは、編集部内がとても穏やかな雰囲気に包まれていたことですね。時期的なもの――校了前でなかったということも、おそらく、あるのでしょうが――ドラマや小説の影響で、編集部といえば、電話が鳴り響き、怒号が飛び交っているような場所と思っていたので......。
――初めて担当編集者と話をしたときどんな印象を持ちましたか? 編集者から受賞作にどういった評価をもらったのかも聞かせてください。
垢ぬけているなぁ、と思いました。『こんなおしゃれ女子が、担当さんに......!? しかも、すんごい可愛い!! な、何!? ドッキリ!?』と、ドギマギしっぱなしでした。あまりのまばゆさに視線すらろくに合わせられず、ものすごく気持ち悪かったと思います。あとは......評価ですよね? えーっと、第1回目のインタビューでも答えさせていただいたのですが、第15回のジャンプ小説大賞で最終選考まで残ったことがありまして「その時の作品より、はっちゃけたものがない」「全体的に小さくまとまってしまっている」「ヒロインが前作よりも可愛くなくなった」というような旨をお聞かせいただきました。その後に「――でも、矢島さんの作品、私は好きですよ」的なことをさわやかな笑顔と共に言ってくださって(私の妄想でなければ)あー、これはずるいな、と。普通に恋に堕ちそうでした(笑)
――受賞後、『天空をわたる花 東国呼子弔忌談―過去を呼ぶ瞳―』でデビューとなりましたが、それまでの期間はどのようなやりとりを担当編集としていたのでしょうか?
受賞作の『神の御名の果てに...』はWEB連載だったので、本にはならず、とにかく一冊本を出すのを目標に、新しい作品を書きまくっていました。書いては没、書いては没――という状態が永延と続き、精神的にかなりきつかったんですが、それでもめげず......とにかく根性勝負でしたね。そうして書き上がった『天空をわたる花』が本になることが決まった時、当時の担当さんが「頑張りましたね」と言って下さったんですが、ホント、ボロボロ泣きました。うれしかったです。
――デビュー後は『青の祓魔師』シリーズのノベライズも手がけられました。どのような経緯で担当されることになったのでしょうか?
もともと『青の祓魔師』の大ファンで、「やりたいやりたい」と言っていたんです。ありがたいことにノベライズを任せていただけたのですが、本当にうれしくてうれしくて......最初のネタ出しのタイミングで、作品への愛をしたためたラブレター的なものを担当さんから加藤先生へわたしていただいたのですが、未だに赤面してその場から逃げ出したくなるような暑苦しい内容でした。先生はやさしく笑って受け入れてくださって。『なんという懐の深さ! 神!!』と号泣でした。
――『青の祓魔師』シリーズのノベライズは累計40万部以上のヒットとなりましたが、何か印象的な思い出などがあれば、お聞かせください。
ノベライズ3巻はメインの話が渋めのシリアスで、登場人物の年齢層も高め、どちらかというと大人な雰囲気の作品だったので、加藤先生と打ち合わせをさせていただいた時、「次ははっちゃけたもので」「笑いに振り切ろう」とお話していて――。4巻のネタ出しをする際に、これはもう振り切ろう......と。そして、はだかまつり(コミックス16巻参照)リターンズとしての褌ネタ(『男たちの褌祭り』)や、加藤先生がTwitterで描かれた燐たちの女の子バージョンが出てくるお話(『ユキオ・イン・ワンダーランド』)まで入れたのですが、まさかのOKをいただき、夢かと思いました。
次回更新は8月22日予定!!
新作『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』のノベライズについてお聞きしました!!
お楽しみに!!