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レーベル創設から25周年を記念してJUMP j BOOKS小説賞出身の先生方へのインタビュー を掲載!!受賞当時の思い出や、あの名作がどのように生まれたのかなど、普段は聞くことのできない先生方の貴重なお話が満載ですよ♪

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ぞんちょ/宮本深礼
(みやもと・みれい)

著者略歴
ジャンプ小説新人賞’14 Summer キャラクター小説部門金賞受賞。
同賞受賞作『Rain of Filth』を改題・改稿したのちに『丸ノ内 OF THE DEAD』として刊行。他に『たがやすゾンビさま』や宮本深礼名義でノベライズ作品『NARUTO-ナルト- ナルト新伝』などを手がけ活躍の場を広げている。
第3回 05.23更新 好きな漫画の小説化に携わる。嬉しい反面、やはり大変な部分もあるようで...

――5月2日に発売したばかりの『NARUTO-ナルト- ナルト新伝』のノベライズ(小説化)を手がけられましたが、ぞんちょ先生自身も『NARUTO-ナルト-』のファンだということで、この作品の執筆依頼を担当編集から最初に受けたとき、率直にどのような感想をもたれましたか?


 ついに! という想いと、自分なんかがいいんだろうか? という想いが、同時に押し寄せてきました。
『NARUTO-ナルト-』の連載が少年ジャンプではじまった当時、まだ小学生か中学生だったのですが、机の隅には常に我愛羅の似顔絵が描かれていました。隈のある目がたまらなく格好よくて好きだったんです。
 同年代で『NARUTO-ナルト-』を読んでいた方には共感いただけると思うんですが、第二部がはじまったとき、ちょうど成長したナルトと同じような年齢になっていたんですよね。
 ナルトはこんなに立派になったのに、自分はちゃんと成長しているんだろうか......? と首を傾げながら、電車の中でジャンプのページをめくっていました。
 そして気がつけば、火影になったナルトとも同じような年齢に。いざ意識してみると、時の流れは早いですね。

――JUMP j BOOKSから刊行される『NARUTO-ナルト-』シリーズの作品は約2年ぶりとなります。ファン待望の作品にもなったと思いますが、執筆を終えられた今はご自身で手がけられた作品に対してどんな気持ちを抱いていますか?


 執筆中は四六時中ナルトたちのことを考えていたため、いざ書き終えてみると、『NARUTO-ナルト-』が最終回を迎えたときのような、寂しい気持ちになりました。ナルロス状態といいますか。
 あまりに寂しいので、久しぶりに『NARUTO-ナルト-』のゲーム「ナルティメットストーム4」を起動してみました。三人一組でチームを組めるのですが、カカシ先生とオビトとリンちゃんの組み合わせにしたものの、ひとりだけ子供のままのリンちゃんと、彼女の奥義演出を見たところでさらに寂しくなってしまいました。
 ......「ご自身で手がけられた作品」と聞かれているのに、すっかりゲームの話になってましたね。

――本作品では親子関係が大きなテーマになっていると思いますが、どんな作品になっているのでしょうか? また、どんなところが見所になっていますか?


 幕間に挟まった小さなエピソードを除き、本編はナルトの章、ヒナタの章、チョウジの章、サスケの章と、四つの章から成っています。
 ナルトとサスケは娘のために、ヒナタは父のために、チョウジは奥さんのために娘と一緒に頑張る、というお話です。どれも五十ページ前後の短編ですので、おやすみ前にサクッと読んでいただける内容になっています。
 親子だけではなく、木ノ葉隠れの里のみんなも登場します。子供向けのおもちゃを買おうとしているキバや、父親になったかつての教え子にアドバイスを送るカカシ先生など。是非お楽しみいただければと思います。

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画像注:新作『NARUTO-ナルト- ナルト新伝』

――編集者と打ち合わせをする際に、オリジナル小説を執筆するときと違う部分はありますか?


 まだ決まっていない設定を用いる際に『NARUTO-ナルト- ナルト新伝』の場合は『NARUTO-ナルト-』の700話に登場した赤丸によく似た小犬の名前や、『BORUTO-ボルト-』で子供たちに人気の携帯ゲーム機の名前など、オリジナル小説であれば担当さんとふたりで名前を決めることもできるのですが、ノベライズでそんな失礼なことはできませんので、原作サイドの先生方の手をお借りすることがあります。
『NARUTO-ナルト- ナルト新伝』でも岸本先生をはじめ、『BORUTO-ボルト-』の脚本を手がけられている小太刀先生にもお力添えいただきました。略儀ではございますが、この場を借りて御礼申し上げます。

――ノベライズ作品を手がけるにあたり、どんなところに注意して執筆にあたりますか?


 なによりもまず、キャラクターがブレないよう注意しています。性格はもとより、喋り方や笑い方などもそうです。
『NARUTO-ナルト- ナルト新伝』では名前の呼び方にも気をつけました。たとえば夫婦の場合、子供たちの前で妻や夫を名前で呼ぶのは、なんだか違和感があるなと思ったからです。
 呼び方で一番悩んだのが「サラダの前で、サスケはサクラのことをなんと呼ぶか」でした。サラダはサクラを〈ママ〉と呼びますが、サスケもそう呼んだらちょっと違うかなと考えたりしました。実際にどう呼んだのかは小説でご確認いただけると嬉しいです。
 そういえば『岸部露伴は動かない』のノベライズを担当させていただいたときの話なのですが、露伴先生が〈ヘブンズ・ドアー〉を出すときのかけ声を〈ヘブンズ・ドアァァッ!〉にするべきか〈ヘブンズ・ドア――――ッ!〉にするべきか、結構悩みました。一時間半ぐらい悩んだ末に、結局〈ヘブンズ・ドアァァ――――ッ!〉の方がしっくりくるなと思いそちらを採用しました。

――漫画ノベライズだけではなく『映画ノベライズ 斉木楠雄のΨ難』では実写映画のノベライズにも挑戦されました。漫画のノベライズとの違いはどんなところにありますか? 


 漫画のノベライズは「漫画のキャラクターをお借りして、お話を考える」のですが、実写映画のノベライズは「予め脚本(もしくは映像)が用意されており、それに準ずる」ことになります。
 実写映画『斉木楠雄のΨ難』の場合は、福田監督が書かれた脚本に加え、映像ディスクまでお借りすることができたので、とても助かりました。
 ただ、脚本の台詞をそのまま小説の台詞にすればいいというわけではなく、活字で見てもすぐに「この台詞はあのキャラクターだな」と分かるよう手を加えたりもします。燃堂の台詞に「お?」を足したりなどしましたね。
 映画では俳優さんのアドリブが入る場合がありますので、そのあたりも意識して活字に起こしていました。特に窪谷須を演じられた賀来さんのアドリブが凄く面白くて、読者の方に少しでもこの面白さをお伝えしようと、アレやコレやと試したりもしました。

――徹底的にその作品を研究し、世界に入り込むということが、ノベライズをするにあたり必要なことかと思いますが、そういった研究などからご自身の創作活動に影響があったりするのでしょうか?


 創作の内容を別ジャンルに切り替えるようにして、むしろ影響が出ないようにしています。作品にどっぷり浸からせていただいたあとですから、もう頭のてっぺんからつま先まで、その作品一色になってしまっているわけです。なので、ひと思いに作品世界から脱出しないと、そのままズブズブ沈んでしまいそうで...... 『NARUTO-ナルト-』のノベライズを書かせていただいた直後に『オリジナルで忍者の話を考えました!』というのはとても言えることじゃないですよね。
 研究といえるほどのものでもないのですが、『NARUTO-ナルト- ナルト新伝』でラーメンが出てくるシーンがありまして、そのためにラーメンの画像を検索したのですが、あれは辛かったですね。午前四時ぐらいに調べたものですから、ラーメンの誘惑がもの凄かったです。

――ノベライズに携わることでのやりがいはどんなところにありますか? 漫画ノベライズと映画ノベライズでの違いもあれば教えてください。


 なんといっても『偉大な原作に携わることができる』ところでしょうか。ジャンプが大好きでJUMP j BOOKSの門を叩いた身ですから、執筆打診のお話を伺った瞬間から脱稿するまで、常には言いすぎかもしれませんが、とにかく歓喜で身体が震えているような感覚でした。
 漫画ノベライズの場合は漫画のキャラクターたちと向き合うことになるのですが、映画ノベライズの場合は漫画のキャラクターに加え、監督さんや俳優さんとも向き合うことになりますので、いつもひとりでノートパソコンのキーを叩いている自分にとって、大勢の方と一緒にお仕事をしているようで、心強く感じます。

次回は5月30日更新!!
最終回は創作論や次作の構想についてお聞きしました!
お楽しみに!!

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