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レーベル創設から25周年を記念してJUMP j BOOKS小説賞出身の先生方へのインタビュー を掲載!!受賞当時の思い出や、あの名作がどのように生まれたのかなど、普段は聞くことのできない先生方の貴重なお話が満載ですよ♪

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花井利徳
(はない・としのり)

著者略歴
ジャンプ小説新人賞’14 Spring小説フリー部門金賞受賞。
同賞受賞作『駄犬の守る優しい世界』を改題・改稿したのちに『鬼塚伊予の臨床心霊学』として刊行。ダッシュエックス文庫から『「まもの」の君に僕は「せんせい」と呼ばれたい』を刊行し、活躍の場を広げている。
第3回 07.18更新 作品の執筆をすることで実際の生活にもいい影響が!

――5月25日に『「まもの」の君に僕は「せんせい」と呼ばれたい』が発売されましたが、この作品を書くことになったきっかけはどんなところにあったのでしょうか?


 企画書の段階で迷いに迷ってしまったというのがまずはありました。もともとは心理学に絡めた作品をいくつか考えていたのですが、結局なかなかうまく形にならなかったんです。心理学からちょっと離れた方がいいかもと編集部から意見があって、どうしたらいいのかと思っているときに島田前編集長から、自身がこれまで経験してきたことをベースにしてみて考えた方が良いのではとアドバイスをいただきました。それで塾講師をしているので塾をテーマにお話を考え始めて、それだけじゃ駄目だから担当の方との話の中で魔物の子を絡めたりと話を膨らませていきました。

――ライトノベルレーベルのダッシュエックス文庫からの刊行となりましたが、作品を作る中でこれまでとの違いはありましたか?


 たぶんそこまで違いというのはなくて、なぜかというと、この作品をどの判型で出すのかがなかなか決まっていなかったからなんです。ただダッシュエックス文庫から出していただけることが決まったあとは、ピンナップになり得るサービスシーンは書いてほしいというお願いが担当の方からありました。逆に『鬼塚伊予の臨床心霊学』のときはあまりそういうシーンは入れないほうがよいという話もあって、今回はもう少しキャラ同士のかわいらしい絡みなどを入れるように工夫しています。ライトノベルらしい雰囲気になっているといいのですが...

画像注:新作『「まもの」の君に僕は「せんせい」と呼ばれたい』(ダッシュエックス文庫刊)

――ライトノベルということを意識して、キャラクター作りでこれまでと変えた部分はありましたか?


 魔物の少女の悩みを人間の主人公が解決するというコンセプトが最初からあったので、魔物という種族の特殊な悩みであっても、根底の部分では人間と変わらない部分があって読者が読んで納得できるものにするために、現実から離れすぎないようにファンタジーの中のリアリティというものを突き詰める作業は担当の方と一生懸命してきました。そういう部分では『鬼塚伊予の臨床心霊学』と違うところはありましたね。こちらの作品は日常の中にちょっとしたファンタジーがある作品だったのですが、『「まもの」の君に僕は「せんせい」と呼ばれたい』はがっつりファンタジーの中にちょっとだけ人間ぽっさがあるというものなので、キャラクターを形にするというのは時間がかかったかもしれません。
 ただ、二作品ともキャラクターありきでストーリーを書いていたので、作品自体についてはそこの味付けの仕方が変わったね、というぐらいだったと思います。

――ご自身の塾講師の経験を元に作品を執筆されたとのことですが、その経験は作品の中で活きてきましたか?


 活かせたし、逆に活かされましたね。『鬼塚伊予の臨床心霊学』のときは主人公とヒロインはもともと関係性ができあがってるんですよね。後から出てきたキャラクターもすでに土壌ができている関係のなかで人間関係を構築しているので、すごい近い関係のところからスタートするんですけど、この作品の先生と生徒はすごい離れた状態から徐々に距離を詰めていくことになるんです。だから、僕自身が初めて塾に入ってきた生徒とのやりとりを思い出しながら、それをリアルに書きつつ、脚色して書けたと思います。
 また、僕が書いた文章のなかで担当の方から「この言葉だと伝わりにくい」などのアドバイスをもらうのですが、裏を返せば普段僕が生徒に対して言っていたことは届かなかったり、伝わらなかったりするのかもしれないと思うようになったんです。
 執筆の経験から自分でもびっくりするぐらい生徒への対応の仕方が変わっていて、僕の教え子が同じ講師として職場にやってきたのですが、「花井先生、あのときより七億倍優しくなりましたね」と言われました。どちらかというとこの作品を書いて僕に与えられた影響のほうが大きかったかもしれませんね。

――執筆するうえで、ここはこだわった、読者の方にぜひ読んでもらいたいという部分はありますか?


 ヒロインの魔物の少女三人は、小さい悩みから大きい悩みまでを抱えていてしんどい状況になっていて、それを不器用で馬鹿なんだけど一生懸命な主人公が助けてあげるという物語になっています。主人公とヒロインがそれぞれ悩みに向き合い解決していくことで成長していく所が見どころになっていると思います。
 特に主人公は生徒との対応の仕方も最初はさぐりさぐりで危なかっしくて、でも生徒たちと正面からぶつかりあっていくなかで、ヒロインや周りの人から信頼を得て、助けもらえるようになったりしていきます。その子たちが作り上げるドラマだったり物語だったり、そういうふうに成長していく彼らをぜひ見てほしいなと思います。

次回更新は7月25日予定!!
作家になって報われたこととは?
お楽しみに!!

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