アーカイブスメニュー
第1回結果発表 第2回結果発表 第3回結果発表 第4回結果発表 第5回募集要項
銀賞 書籍化+賞金50万円
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- 『星の影に潜む』 P.N.市方谷武志
- あらすじ 小学校教師の松永七朗は、子供の世界にかかわらないことをモットーに、いじめを放置し、生徒への不干渉を貫いて、偽りの平穏を享受していた。だが、正体不明の転校生・白石美星により、クラスの秩序は崩壊していく…。
- 講評 ホラーを通じたドラマ作りの力が高く評価された。無力な教師を主人公に置くことで、学校の恐怖を新しい視点から炙り出すことにも成功している。生々しい心理描写には、読者の心を掴み、ページをめくらせる力があった。
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『少女断罪』 著者:市方谷武志
イラスト:内海痣
定価:本体1,200円+税
発売日:2015年12月4日
銅賞 賞金30万円
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- 『ピュグマリオンは種を蒔く』 P.N.坊木椎哉
- あらすじ 豆崎空也は元同級生の入瀬ミサキへの恋を引きずる浪人生。ミサキが失踪したことを知り、行方を探ろうとした空也は、手がかりを握る花売りの少女を見つけだしたが、少女から示されたのは、真実と、おぞましい取引だった。
- 講評 人肉を餌に育つ植物の描写や、徐々に理性を失っていく主人公の心象をはじめ、読者に恐怖感を抱かせる場面の筆致が図抜けている。舞台となる色街、夜現れる花屋などのモチーフ選びや描き方にも、独自の美意識を感じた。
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『ピュグマリオンは種を蒔く』 著者:坊木椎哉
イラスト:つくぐ
発売日:2016年11月26日
特別賞 賞金10万円
- 『キミノクロア ~誰の中にも伝説がある~』 P.N.山田千晴
- あらすじ 高校生・細野樽助には、都市伝説の現場を金属バットで破壊するという趣味があった。同級生の変死事件がきっかけで、都市伝説収集家の少女・瀧羽クロアと出会った樽助は、都市伝説「ニクバキ」の謎に迫ることになり…。
- 講評 主人公とヒロインをはじめ、魅力的なキャラを作ろうという意識がもっとも高かった。ホラーシーンも、映像的なアイデアや迫力があり、読み応えがあった。分かりやすい構成を目指せば、更に良い作品づくりができるはず。
編集部講評
- 編集長 浅田貴典
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臨場感あふれる恐怖描写、高い筆力を持つ才能が集まる賞でした。最終候補作を夜中に読むのが、怖くなったぐらいです。挑戦いただき、ありがとうございます。銀賞の『星の影に潜む』は堅実な描写力に加え、「教師の生徒に対する不信感」という現代の新たな不安の切り口・ドラマを描いたことを高く評価しました。恐怖描写そのものは、キャラ・ストーリーを彩る調味料です。その調味料を使って、何を書きたいのか。そこが明確でした。銅賞の『ピュグマリオン~』はカニバリズム表現が圧倒的でした。ただし、その表現そのものだけではネットの画像・スキャンダラスさには敵わない。「シシクイバナ」というアイデアを通じ、ドラマ・ストーリーを小説ならではの恐怖として、重層的に紡げたはず。作品の改善の伸び代もふまえ、あえてWEB掲載です。特別賞の『キミノクロア~』は、エンタメとしてのキャラクター性では候補作で1番です。しかし全員が「主人公」になってしまい、結果、読者に与える印象が、ぼやけました。繰り返しですが「恐怖表現」そのものは、単なる技術です。その技術を使って、どのような「小説ならでは」のキャラ・ストーリー・ドラマを、紡げるか。次回を期待しています!
第4回ジャンプホラー小説大賞
(2018年6月30日締切)募集中!!
次なるデビューは君だ!!
最終候補作品
- 『月が殺して暦は死ぬ』 P.N.城門有美
- あらすじ 高校時代の友人である伊織の通夜に参列した楓菜は、伊織の部屋でDVDと手紙を見つける。それは六年前に行方不明となった同級生、土屋葵が書いた台本の一文と、葵が屋上から飛び降りる瞬間を記録したDVDだった。
- 講評 主人公の隠していた過去が徐々に明らかになっていく構成は優れていた。文章も安定している。一種の復讐譚であるが、肝心の「台本に見立てた」復讐のシーンの多くがぼかされており、迫力や劇的さ、新しさに欠けた。
- 『七峠さんの怪しげな事情』 P.N.ハルト
- あらすじ高校2年生の笹舟環は、学校一の美少女である七峠四季に付きまとわれている。ある日二人は、一年生の荒垣こよみから妹の過睡眠について相談を受ける。四季は、その原因が夢海月という「コトナリ」であると指摘して…。
- 講評キャラを作ろうとする意識はあるが、ヒロインは、既存の作品との類似点を越えられるほどのインパクトや新味に欠けていた。設定が曖昧でご都合主義なこともあり、山場である夢のシーンに緊迫感や説得力が足りなかった。
- 『デストルドー・ゲーム』 P.N.九頭竜正志
- あらすじ 中学2年生の堀越悠斗とそのクラスメートたち30人は、林間学校へ向かう途中、何者かに拉致され、「負けたら死ぬ」デストルドー・ゲームへの参加を強要される。様々なゲームの結果、級友は一人また一人と脱落し…。
- 講評 ゲームについては、人間の醜い部分が見えるようなルールを丁寧に考えてある。一方で、数多くの登場人物をきちんとキャラ立てしきれておらず、感情の動きにも不自然なところがあり、キャラの心理を追いづらかった。
- 『思い出してはいけない』 P.N.岸穂花
- あらすじ 小学校の同窓会に出席した晴代。かつて流行った怪談「おいてきさん」 が話題に上るが、後日、友人たちが怪談の通り次々に失踪してしまう。晴代は、怪談のルーツとなった過去の行方不明事件について調べ始めたものの…。
- 講評 文体は平易で読みやすい。怪談をめぐるホラーとして始まりながらミステリとしての真相を示すプロットの意欲は買いたいが、見せ場の少ない、小粒な作品にまとまってしまった。キャラや道具立てなど、もっとフックが欲しい。
- 『られずプロジェクト』 P.N.清水森門外
- あらすじ 高良賢人は、イジメを受けている人を救うという「られずプロジェクト」 の存在を知る。クラスメートから勧誘を受けた賢人は「られずプロジェクト」 の一員となり、組織内で成り上がっていくが、実は隠した目的があった。
- 講評 「いじめを撲滅する」と称する組織の存在やその内情など、アイデアの斬新さは貴重である。ただ、心情描写や情景描写など「地の文」の力が足りず、後半のどんでん返しも含め、説得力を失ってしまっているのが惜しい。
- 『SHADOW PEOPLE 金色の眼』 P.N.松岡シュウ
- あらすじ 真木晋太郎は、友人たちと興味本位で悪魔召喚の儀式に参加する。結果、友人は相次いで不審な死を遂げ、一方、晋太郎は、念じるだけで他人を殺す能力を手に入れる。能力を使って目障りな相手を排除していく晋太郎だが…。
- 講評 能力を手に入れた主人公の行為がエスカレートしていく前半の展開は読み応えがあったが、能力のルーツを探り始める後半からの展開は、スケールダウンや、寄り道になってしまい、読者が読みたい物語になっていなかった。