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第1回結果発表 第2回結果発表 第3回結果発表 第4回結果発表 第5回募集要項

銀賞 書籍化+賞金50万円
  • 『自殺幇女』 P.N.尾北圭人
  • あらすじ 町で不可解な連続首吊り事件が発生していたちょうどその頃、大学生の早乙女は墓場で首を吊る悪夢に悩まされていた。悪夢に操られるように首吊り自殺を図った早乙女は、ヒラサカコヨミと名乗る女に救われる。彼女は自殺コンサルタントを自称し、早乙女に適切な自殺のプランを提案する。早乙女は、彼女が連続首吊り事件の犯人ではないかと疑い始める。
  • 講評 外見や表面的な言動には可愛らしさがある一方で、奇妙な信念から契約者を嬉々として自殺させようとする異常性を備えた、ヒラサカコヨミのキャラクター性が高く評価された。疑心暗鬼状態の早乙女がヒラサカに翻弄される展開は、読者の心理をうまく誘導できている。怪異の原因が明かされる箇所など、読者を驚かせ恐怖させようとする細かいシーンの演出も光っていた。
自殺幇女
『自殺幇女』 著者:尾北圭人
イラスト:カオミン
定価:本体1,400円+税
発売日:2018年3月19日
銀賞 書籍化+賞金50万円
  • 『花は二度死に、名を失う』 P.N.鳥谷綾斗
  • あらすじ 男子大学生・鹿住未来は、残留思念を読み取る、サイコメトリーと呼ばれる超能力を持っていた。母校の高校で教育実習を始めた未来は、女生徒からホラー映画研究部の活動に誘われるが、彼が部活に参加したその日に部員の一人が不審な死を遂げる。未来は、自身の能力を用いてその原因を捜査するうちに、特殊な交霊術「キラズさん」の呪いにたどり着く。
  • 講評 呪いによる連続死というホラーとしての本筋に、教育実習生と女生徒の関係性の進展というサブプロットを加えたことで読者の感情移入を強めることに成功していた。ミステリ的な伏線回収も巧みで、冒頭から僅かずつ示されていく遺言の内容が、終盤で大きな役割を果たすのも見事だった。物語の根幹にかかわるいじめの原因など現代的で、若い読者に届く内容だった。
散りゆく花の名を呼んで、
『散りゆく花の名を呼んで、』 著者:鳥谷綾斗
イラスト:紺野真弓
定価:本体1,400円+税
発売日:2018年3月19日
特別賞 賞金10万円
  • 『灰色同盟』 P.N.有村紀一
  • あらすじ 写真部に所属し、生物の死に遭遇しやすい体質を持っている高校生・芥は、猟奇趣味のある同級生・夏目に、死体写真を渡す代わりに薬を打ってもらうという秘密の関係を結んでいた。しかしある日、その秘密が写真部の部長・岬にバレてしまう。やがて岬の惨殺死体が発見され……。
  • 講評 猟奇殺人事件が発生する中で、罪の隠蔽のために主人公が次々に嘘をついて人を騙す部分に、ダークな爽快感があった。冒頭、学校のトイレの個室で主人公がヒロインに注射を打たれているシーンの掴みがよく、サプライズの相次ぐラストにも読み応えがあった。


次回作に期待!
  • 『遺体、売りますか』 P.N.雪村勝久
  • あらすじ 祖父の死を境に家を出た男子高校生・葵は、祖母の紹介で、古物商で住み込みのバイトを始めた。葵は、店主である滴、そのいとこの小学生・明衣と、家族同然の生活をすることになる。だが、その店は、普通の骨董品を扱うばかりでなく、遺体すらも取引するという裏の顔があった…。
  • 講評 死体をも取引する古物商という舞台選びと、主人公とヒロインのキャラ配置には企画性が感じられた。クライマックスにおける主人公と殺人犯の対決はサスペンスフルだった一方で、そこに至るまで、読者を怖がらせるシーンの割合が少ないのが勿体なかった。
  • 『生まれて、変わって、殺したい!』 P.N.松屋大好
  • あらすじ 生まれ変わりが実在する世界。女子高生・野々市慧は、シリアルキラー「テッド・バンディ」の生まれ変わりであり、自身の殺人衝動に怯えながら日々を過ごしている。転生しては殺人を繰り返す「因果犯罪者」を追う警察官・三鷹巡は、慧の正体を知り、その身辺を警戒するが……。
  • 講評 異常な世界設定と、「殺人鬼の生まれ変わり」同士の殺し合いというアイデアはインパクトがあり魅力的。序盤の事件はミスリードも効果的で構成も巧みだった。後半になるにつれ文章や構成が粗くなり、ページ内で物語を消化しきれていないのが残念だった。
編集部講評
  • ホラー賞宣伝隊長・ミニキャッパー周平
  • 「終盤は派手だがそこに至るまでが退屈」な物語は読者に最後まで関心を持って読んでもらえません。終盤で大きなカタルシスを味わわせるのは大前提として、「序盤で引き込むこと」「中盤で飽きさせないこと」の二点への意識が受賞の決め手になりました。『自殺幇女』は、自殺契約という設定で冒頭から心を掴み、その契約を結んでしまった主人公の焦りや、キャラの立ったヒロインの正体と連続首つり事件の謎というミステリ性で。『花は二度死に、名を失う』は、超能力者の主人公が教育実習生になる、というフックで関心を誘い、主人公と女生徒の関係が深まる一方で生徒たちが容赦なく死んでいく展開のサスペンス性で。それぞれ、最後まで読み手を離さなかったことが受賞に繋がりました。『灰色同盟』は、主人公の行動の動機を読者に隠したために「中盤を読ませる力」がやや弱い部分もあり特別賞となりました。応募された皆様の、更なる飛躍を期待しています。

第4回ジャンプホラー小説大賞
(2018年6月30日締切)募集中!!
次なるデビューは君だ!!



最終候補5作品
  • 遺体、売りますか P.N. 雪村勝久
  • 生まれて、変わって、殺したい! P.N. 松屋大好
  • 自殺幇女 P.N. 尾北圭人
  • 花は二度死に、名を失う P.N. 鳥谷綾斗
  • 灰色同盟 P.N. 有村紀一
二次選考通過25作品
  • 遺体、売りますか P.N. 雪村勝久
  • 生まれて、変わって、殺したい! P.N. 松屋大好
  • 永遠の17歳 P.N. 織原あとり
  • お騒がせ幽霊とお人好しな僕。 P.N. 黒唯アイリ
  • 怪奇心中物語 P.N. 御原灯澄
  • 神様が僕を愛してくれない P.N. 來女寿男
  • 神様は空を見ない P.N. りきまる
  • 君の屍が視える P.N. 播磨ゆき
  • 狂気のガーループ戦線 P.N. 村星次朗
  • 銀灰の禽 P.N. 山野ねこ
  • くさびらの話 P.N. 剣先あやめ
  • クロスレイジ・マーダーケース P.N. 嶋田一榮
  • 好餌日和 P.N. 蛙目エリカ
  • 最後に僕を殺してくれ P.N. 山橋一哉
  • 自殺幇女 P.N. 尾北圭人
  • 聖域に生きる P.N. 石黒義握
  • 魂は知っている P.N. 諸戸彰
  • ――探偵事務所へようこそ。デビリッシュディテクター P.N. 月猫
  • チョコレート・ハウス ゼロ P.N. 猫又
  • 人魚姫の白い足 P.N. 斎藤きあ
  • 呪いの幕切れ P.N. 逢坂一加
  • 灰色同盟 P.N. 有村紀一
  • 花は二度死に、名を失う P.N. 鳥谷綾斗
  • 辺獄にて待つ P.N. 宇緑モリブデン
  • リンカ P.N. 綿志波さち

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