絶賛作品募集中の『ジャンプホラー小説大賞』。その記念企画として、ホラーを愛する作家の方々に、連続インタビューを行います。プロが語る、ホラーとの出会い、作品を書く上での秘訣やテクニック、心得など……受賞を目指す皆さん、ぜひ先生方の教えを、作品執筆の助けにしてください。
作家一覧
大学生くらいまでは、主にミステリを中心に読んでいました。ホラーにも手は出しましたが、あまり好きではなかったです。
ところが、あまりにもどっぷりと浸かり過ぎたせいで、すべてを合理的に割り切ってしまうミステリに、近親憎悪に近い感情を持ってしまいます。その反動から今度はホラーを精力的に読むようになり、気がつくと両方が好きになっていました。
拙作が常にホラーとミステリの融合を目指すのも、この読書体験があったからだと思います。
雰囲気です。アイデアやプロットも重要ですが、それらしい雰囲気を文章で醸し出すことができれば、ある意味そのホラー小説は成功したと言えます。すべての作家に当てはまることですが、特にホラーを書く人は、独自の文体が必要だと思います。
どんなスポーツでも基礎体力がないとできません。そのため選手たちは少しでも運動能力を高めようと努力します。作家にとっての基礎体力は「どれほどお話を知っているか」です。小説、映画、芝居など、とにかく先人の物語に接することが大切です。
基礎体力がつけば、自然にアイデアは生まれます。誤解されそうなので断っておきますが、別に真似をしろと言っているわけではありません。習作は模倣でも良いでしょうが、デビュー作にはオリジナル性が求められます。でも、そういった新しいアイデアは、ちゃんと基礎体力があれば考えつくものです。
できればホラーを極めるくらい先人の物語に接すると共に、その他の分野の作品も読む、または観ることをお勧めします。「どれほどお話を知っているか」は、決してホラーに限らない、ということです。
とにかく重要なのは、1「書きはじめる」→2「書き続ける」→3「完成させる」の三つです。もっとも駄目なのは、「キャラがどうの」「アイデアがどうの」「プロットがどうの」と口だけで少しも書かないこと。またはせっかく書き出したのに途中で放り出すこと。
これまでに何度か作家志望者から質問を受けたことがありますが、「小説を書くモチベーションの維持が難しい」と言った方が結構いて驚きました。
作家になっている人たちは、ほぼ全員が「自分もこんな小説を書いてみたい」という強い思いから、まず創作に手をつけたはずです。日々の仕事や勉強などで時間がなくて疲れていても、「書きたい」という衝動があったからこそ執筆を続けた。その積み重ねが一編の小説になり、やがてプロ作家への道を開く切っ掛けとなった。小説を書くモチベーションがないのなら、とても作家にはなれません。
ただし、小説を書くモチベーションと(2)の基礎体力は、正比例の関係ではないか、と個人的には感じています。だから今、仮にあなたが「なかなか小説が書けない」状態にあるのなら、実は基礎体力作りがまだ不十分なのかもしれません。
それでも1「書きはじめる」→2「書き続ける」→3「完成させる」は、基礎体力作りと並行してやるべきです。最初は習作で構いません。とりあえず書き続けること。その繰り返しで小説は上手くなっていきます。
あなたにしか書けないホラー小説を、ぜひ完成させてください。